こんにちは!TOSHIです。
「産休と育休で、結局いくらもらえるんでしょうか」
ご相談でよく聞かれます。制度の名前は知っていても、自分の場合にいくらになるかは調べにくいからだと思います。
今日は、月給別の早見表で整理します。そのうえで、意外と見落とされがちな税金の話にも触れます。
先に結論をお伝えします。
- 全員が受け取れるお金と、収入によって変わるお金があります
- 収入によって変わるのは、出産手当金と育児休業給付金です
- 給付は非課税で、休業中は社会保険料も免除されます。 そのため手取りベースでは休業前の約8割になります
- ただし住民税は、休業中も払います
- 休業した年は、夫の配偶者控除が使えることがあります
- ふるさと納税の上限も下がります
順番に見ていきます。
1. お金が受け取れる時期
まず全体像です。
【図1:産休・育休中に受け取れるお金】
産前42日と産後56日は出産手当金、その後の育児休業は育児休業給付金。この2つが柱になります。
2. 全員が受け取れるお金(金額は一律)
収入に関係なく、金額が決まっているものです。
| 制度 | 金額 |
|---|
| 出産育児一時金 | 子ども1人につき原則50万円 |
| 妊婦のための支援給付 | 合計10万円 |
| 児童手当 | 年齢に応じた定額 |
出産育児一時金は、2023年4月から原則50万円です。多くの場合、健康保険から産院へ直接支払われるので、口座に振り込まれるわけではありません。
妊婦のための支援給付は2025年4月に始まった制度です。妊婦給付認定後に5万円、胎児の数の届出後に1人につき5万円。子ども1人なら合計10万円になります。お住まいの自治体での手続きが必要です。
児童手当は、2024年10月から所得制限がなくなりました。世帯年収にかかわらず受け取れます。
出産費用の保険適用について
2026年5月29日に改正健康保険法が成立し、正常分娩を公的医療保険の対象とする方針が決まりました。
ただし施行は公布から2年以内とされており、実際に始まるのは早くても2027年度以降の見込みです。移行期間中は現行の出産育児一時金と併用される見通しです。
今すぐ出産される方は、これまでどおり一時金50万円とお考えください。
3. 収入によって変わるお金
こちらは、働いている方が対象です。
| 制度 | 何で決まるか |
|---|
| 出産手当金 | 産休前12か月の標準報酬月額 |
| 育児休業給付金 | 育休前6か月の賃金 |
| 出生後休業支援給付金 | 同上 |
| 育児時短就業給付金 | 時短勤務中の賃金 |
ここで大事な点があります。
出産手当金は標準報酬月額、育児休業給付金は直近6か月の賃金で決まりますが、どちらも賞与は含みません。
そのため、同じ年収でも、賞与の割合が大きい方ほど実際の給付は少なくなります。 年収ベースで考えると、ずれが生じます。
この記事の早見表を「月給」で作っているのは、そのためです。
なお、この2つは別々の法律にもとづく別の計算方法です。 片方の金額から、もう片方を比率で推測することはできません。
どこから、いつ振り込まれるのか
ここも混同されやすいところです。出す側も、振り込まれ方も違います。
| 出産手当金 | 育児休業給付金 |
|---|
| どこから出るか | 健康保険(協会けんぽ・健康保険組合) | 雇用保険(ハローワーク) |
| 申請先 | 勤務先を通じて健康保険へ | 原則として勤務先を通じてハローワークへ |
| 振り込まれ方 | 産休終了後にまとめて1回が一般的 | 原則2か月に1回、2か月分ずつ |
育児休業給付金は一時金ではありません。 2か月ごとの申請にあわせて、2か月分がまとめて振り込まれます。希望すれば1か月ごとの申請も可能ですが、勤務先の事務手続きによります。
注意していただきたいのは、最初の振込までの期間です。
育休に入ってすぐ振り込まれるわけではなく、育休開始からおおむね2〜3か月後になることが多くなります。出産手当金も、産後56日が過ぎてからの申請になるため、同じように時間がかかります。
つまり、産休に入ってから数か月は、まとまった入金がない期間が生じます。
給付の総額が足りていても、入金のタイミングで資金が足りなくなることがあります。 産休に入る前に、3か月分程度の生活費を手元に置いておくと余裕が持てます。
4. 月給別の早見表
前提条件
- 賞与を除いた、残業代・手当込みの額面月給
- 予定日どおりに出産(産前42日+産後56日=98日)
- 育児休業は子が1歳になるまで(約10か月として計算)
- 育休給付は最初の180日が67%、それ以降が50%
- 2026年8月時点の上限額を適用
結果(概算)
| 月給 | 出産手当金 | 育児休業給付金 | 合計 |
|---|
| 20万円 | 約43.6万円 | 約120.4万円 | 約164万円 |
| 25万円 | 約54.4万円 | 約150.5万円 | 約205万円 |
| 30万円 | 約65.3万円 | 約180.6万円 | 約246万円 |
| 35万円 | 約76.2万円 | 約210.7万円 | 約287万円 |
| 40万円 | 約87.1万円 | 約240.8万円 | 約328万円 |
| 45万円 | 約98.0万円 | 約270.9万円 | 約369万円 |
| 50万円 | 約108.9万円 | 約298.7万円 | 約408万円 |
これらはすべて非課税です。 税金が引かれることはありません。
5. 上限があります
育児休業給付金には上限額があり、毎年8月1日に見直されます。
2026年8月1日からの上限額
| 区分 | 月額の上限 |
|---|
| 給付率67%の期間 | 332,454円 |
| 給付率50%の期間 | 248,100円 |
賃金日額の上限が16,540円なので、月給がおよそ49万6千円を超えると頭打ちになります。
上の表で月給50万円の行の金額が、45万円の行から伸びていないのはこのためです。収入が高い方ほど、給付率どおりの金額にはなりません。
上限額は毎年変わります。実際に育休を取る時点の金額を、厚生労働省のパンフレットでご確認ください。
6. 手取りで見ると、どうなるか
額面の67%と聞くと、生活が3分の1減るように感じますが、実際の感覚はもう少し違います。
理由は2つあります。
① 給付は非課税です
所得税も住民税もかかりません。働いているときの給与からは所得税が引かれていたので、その分の差が縮まります。
② 社会保険料が免除されます
産前産後休業と育児休業の期間は、健康保険料と厚生年金保険料が免除されます。 本人負担分も会社負担分も、どちらもです。
この2つを合わせると、給付率67%の期間は、手取りベースで休業前の約8割になります。
ただし、住民税は払います
ここは見落としやすい点です。
住民税は、前年の所得に対してかかります。 そのため、休業中で収入がなくても、前年に働いていた分の住民税は納める必要があります。
給与天引きができなくなるので、会社によっては一括で徴収されたり、自宅に納付書が届いたりします。年額で十数万円になることもあるので、事前に確認して、資金を残しておいてください。
7. 出生後休業支援給付金
2025年4月に始まった制度です。
夫婦がともに14日以上の育児休業を取得した場合、最大28日分について、育児休業給付金(または出生時育児休業給付金)の給付率に13%が上乗せされます。
つまり、こうなります。
| 給付率 |
|---|
| 育児休業給付金 | 67% |
| 出生後休業支援給付金の上乗せ | +13% |
| 合計 | 80% |
上乗せ分は、育児休業給付金とは別の給付として支給されます。 育児休業給付金が80%に増額されるのではなく、67%の給付に加えて13%分が別途支払われる形です。どちらも雇用保険から出ます。
社会保険料の免除と合わせると、手取りで休業前とほぼ同じ水準になるよう設計されています。
対象になるのは最大28日分です。その期間を過ぎれば、通常どおり67%に戻ります。
母親の場合、産後休業が終わったあとの育児休業が対象になります。条件がいくつかあるので、対象になるかどうかは勤務先またはハローワークでご確認ください。
8. 復帰後に時短で働く場合
2025年4月に育児時短就業給付金も始まりました。
2歳未満の子どもを育てながら時短勤務をする場合に、**時短で減った賃金の約10%**が支給されます。
こちらにも支給限度額があり、2026年8月1日から484,121円に引き上げられています。
ここからは、あまり語られない税金の話です。産休・育休を取った年は、家計のほかの部分にも影響が出ます。
9. 夫の配偶者控除が使えることがあります
出産手当金と育児休業給付金は非課税です。 つまり、税金の計算では所得に入りません。
そのため、休業した年は、妻の所得が大きく下がります。 年の途中から休業に入った場合、その年の給与だけが所得になります。
その結果、夫が配偶者控除または配偶者特別控除を使える場合があります。
配偶者控除は、妻の給与収入が123万円以下であることが目安です。夫の所得にも上限があります。
夫の年末調整で申告しないと、自動的には適用されません。 忘れていた場合も、確定申告で後から受けられます。
「うちは共働きだから関係ない」と思い込んでいると、取りこぼします。休業に入った年は、一度計算してみてください。
10. ふるさと納税の上限が下がります
同じ理由です。
ふるさと納税の控除上限は、その年の所得に応じて決まります。 休業して所得が下がった年は、上限も下がります。
例年と同じ感覚で寄付すると、上限を超えた分は自己負担になります。
休業に入った年は、実際の収入見込みで上限を計算し直してください。 各自治体やふるさと納税サイトのシミュレーションで確認できます。
11. 翌年の住民税は下がります
休業した年の所得が低くなるので、その翌年に納める住民税は下がります。
復帰した年は、手取りが一時的に多く見えることがあります。これは給与が増えたのではなく、住民税が少ないからです。
さらにその翌年には、通常の水準に戻ります。 手取りが減ったように感じるので、あらかじめ知っておくと家計の計画が立てやすくなります。
12. 年金は下がりません
心配される方が多い点ですが、仕組みで守られています。
① 産休・育休中の保険料免除期間
保険料は免除されますが、年金額の計算では、休業前の給与で納めたものとして扱われます。 将来の年金が減ることはありません。
② 復帰後に時短で働く場合
時短勤務で給与が下がると、本来は将来の年金も下がります。
ただし、子どもが3歳になるまでは「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」という制度があります。 届け出れば、以前の給与水準で年金額を計算してもらえます。
これは届け出が必要です。 自動では適用されません。勤務先を通じて手続きしてください。
手続きを知らずに時短勤務を続けると、将来の年金が実際に減ります。 この記事で一番お伝えしたい点かもしれません。
13. そのほか、確認しておきたいこと
帝王切開などで医療費が高額になった場合
高額療養費制度により、1か月の自己負担には上限があります。上限額は年収によって決まります。
2026年8月から上限額が引き上げられているので、別の記事にまとめています。
▶ 2026年8月、高額療養費の上限が上がりました ── 負担が増える人、変わらない人
なお、正常分娩は公的医療保険の対象外なので、高額療養費も使えません。帝王切開や切迫早産による入院など、保険診療になる場合が対象です。
保育料
0〜2歳児の保育料は、世帯の住民税所得割で決まります。休業した年の所得が下がると、その影響が保育料にも出ることがあります。
子どもの医療費助成
自治体によって、所得制限の有無や対象年齢が違います。お住まいの市区町村で確認してください。
14. まとめ
- 出産育児一時金・妊婦のための支援給付・児童手当は、収入に関係なく一律
- 出産手当金と育児休業給付金は、月給で決まる(賞与は含まない)
- 給付は非課税で、社会保険料も免除。手取りでは休業前の約8割
- 住民税は休業中も払う
- 育休給付には上限があり、毎年8月1日に見直される
- 休業した年は、夫の配偶者控除が使えることがある
- ふるさと納税の上限は下がる
- 年金は、免除期間も養育特例も届け出れば減らない
この記事の金額は、すべて概算です。
実際の金額は、勤務先の給与の内訳、加入している健康保険組合、出産の時期によって変わります。正確な額は、勤務先・健康保険組合・ハローワークで確認してください。
制度は知らないと使えないものばかりです。特に配偶者控除と養育特例は、届け出なければ適用されません。 該当しそうな方は、忘れずに手続きしてください。
分からないところがあれば、気軽に聞いてください。
参考
- 厚生労働省「育児休業等給付について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ikuji/index.html
- 厚生労働省「出産育児一時金等について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/shussan/index.html
※本記事は2026年9月時点の情報をもとに作成しています。給付額の上限は毎年8月1日に見直されます。制度は改正される場合がありますので、最新の内容は厚生労働省および加入している健康保険でご確認ください。