こんにちは!TOSHIです。
つみたてNISAを始めた方から、こんな話をよく聞きます。
「毎月引き落とされているけれど、何を買っているのかよく分かっていない」
証券口座を開いて、商品を選んで、金額を決めて。そこまでは進んだけれど、買っているものの中身は説明されないまま、ということが実際にあります。
今日は、投資信託そのものの話をします。
先に、押さえていただきたい点をお伝えします。
- 投資信託は、たくさんの人のお金をまとめて運用する仕組みです
- 3つの会社が関わっていて、それぞれ役割が違います
- 信託報酬は、毎日少しずつ引かれています
- 基準価額が下がっている=損しているとは限りません
- 分配金は、利益とは限りません
順番に見ていきます。
1. つみたてNISAで買っているのは何か
つみたてNISAで購入できるのは、金融庁が定めた基準を満たした投資信託とETFです。
個別の株式は買えません。トヨタの株、アップルの株といった単体の銘柄を買う仕組みではない、ということです。
では投資信託とは何か。多くの人から集めたお金をひとつにまとめ、専門家がまとめて運用する商品です。
2. なぜ「まとめる」のか
ここに理由があります。
たとえば、世界中の株式に分散して投資したいとします。ひとりで実行しようとすると、何百、何千という銘柄を買う必要があります。個人の資金では、到底足りません。
ところが、1万人が1万円ずつ出せば1億円になります。この規模なら、多くの銘柄に分けて投資できます。
少額でも分散できる。 これが投資信託の一番の役割です。
月1万円の積立でも、その1万円は世界中の数百社に分けて投資されます。1社の株価が半分になっても、全体への影響はごくわずかで済みます。
3. 投資信託の仕組み
お金がどう動いているのかを見てみます。
【図1:投資信託の資金の流れ】
① 投資家がお金を出す
購入したお金は、信託財産としてひとつにまとめられます。
② 運用会社が、何を買うか決める
運用会社(アセットマネジメント会社)が、集まった資金をどこに投資するかを決めます。実際に売買の指図を出すのもここです。
③ 信託銀行が、資産を保管する
買った株式や債券は、信託銀行が保管・管理します。運用会社が持っているわけではありません。
④ 運用の成果が、基準価額に反映される
保有している資産の価値は毎日変わります。その結果が基準価額として1日1回計算され、公表されます。
⑤ 解約すると、そのときの基準価額で戻ってくる
売却したいときは、その日の基準価額をもとに換金されます。
資産は分けて管理されています
ここは知っておいていただきたい点です。
投資信託の資産は、運用会社・販売会社・信託銀行それぞれの財産とは分けて管理されています。
そのため、これらの会社が破綻しても、投資信託の資産は保全されます。会社の債権者が差し押さえることはできません。
「証券会社が潰れたらお金はどうなるのか」という不安をお持ちの方がいらっしゃいますが、投資信託については、この分別管理という仕組みで守られています。
ただし、投資先の株価が下がることによる値下がりは、この仕組みでは防げません。 会社の破綻リスクと、運用による値動きは別の話です。
4. 関わる3つの会社
それぞれの役割を整理します。
| 会社 | 役割 |
|---|
| 販売会社 | 商品を販売し、口座を管理する(証券会社・銀行など) |
| 運用会社 | 何に投資するかを決め、売買を指図する |
| 信託銀行 | 資産を保管・管理する |
信託報酬は、この3社で分け合っています。
商品の目論見書を見ると、信託報酬の内訳が書かれています。「販売会社◯%、委託会社◯%、受託会社◯%」という表記です。
同じ指数に連動する商品でも信託報酬に差があるのは、この配分と、各社の設定が違うからです。
5. 信託報酬は、毎日引かれています
ここが一番誤解されやすい部分です。
信託報酬は、年率で表示されますが、実際には毎日少しずつ差し引かれています。
「年0.1%」とあれば、その1年分をまとめて請求されるのではなく、日割りで信託財産から引かれ続けます。
引かれたあとの金額が、基準価額です。
つまり、あなたが目にしている基準価額には、すでに信託報酬が反映されています。別途どこかに支払う必要はありませんし、口座から引き落とされることもありません。
気づきにくいコストとも言えます。目に見える形で請求されないので、意識されないまま積み上がっていきます。
年0.1%と年1.5%では、20年、30年と保有するうちに、無視できない差になります。長く持つ商品ほど、ここを確認する意味があります。
6. 基準価額の見方
「基準価額が下がっている=損している」と考えてしまう方が多いのですが、積立の場合は、必ずしもそうではありません。
基準価額は、通常1万口あたりの金額で表示されます。
毎月同じ金額を積み立てると、基準価額が低い月には多くの口数を、高い月には少ない口数を買うことになります。
【図2:基準価額と口数の関係】
3か月で3万円を出して、約30,833口を保有しました。
このとき、平均の取得価額は1万口あたり約9,730円です。基準価額が10,000円に戻れば、それだけで利益が出ている状態になります。
積立を続けている間、基準価額が下がる期間は「安く仕込める期間」でもあります。 下がったから止める、という判断が必ずしも正しくないのは、この構造があるからです。
ただし、これは積み立て続けることが前提の話です。値下がりが続いたまま解約すれば、当然損失になります。
7. インデックスとアクティブ
投資信託は、運用の方針で大きく2つに分かれます。
- インデックス型:特定の指数と同じ動きを目指す
- アクティブ型:指数を上回る成績を目指す
つみたてNISAの対象商品には、どちらもあります。信託報酬はインデックス型のほうが低い傾向にあります。
この違いについては、別の記事で詳しく整理しています。
8. 分配金の落とし穴
投資信託には、分配金が出るものがあります。
「毎月お金が入ってくる」と聞くと良さそうに思えますが、分配金は利益とは限りません。
分配金には2種類あります。
| 種類 | 中身 |
|---|
| 普通分配金 | 運用で得た利益からの分配。課税対象 |
| 元本払戻金(特別分配金) | 自分が出したお金が戻ってきているだけ。 課税されない |
元本払戻金は、税金がかからない代わりに、受け取った分だけ元本が減ります。
つまり、自分の預けたお金が戻ってきているだけ、という状態です。それを「毎月収入がある」と受け取ってしまうと、判断を誤ります。
分配金が出た分、基準価額は下がります。 ここも仕組みとして知っておいてください。
つみたてNISAの対象商品には毎月分配型はありませんが、すでに別の口座で毎月分配型をお持ちの方は、一度確認していただく価値があります。
9. まとめ
- 投資信託は、多くの人のお金をまとめて運用する仕組みです
- 少額でも分散できることが、一番の役割です
- 販売会社・運用会社・信託銀行の3社が関わり、信託報酬を分け合っています
- 資産は各社の財産と分けて管理されるため、破綻しても保全されます
- 信託報酬は毎日引かれ、基準価額に反映されています
- 積立では、基準価額が下がる期間に多くの口数を買っています
- 分配金は利益とは限らず、元本の払い戻しの場合があります
つみたてNISAは、始めるまでの手続きは簡単ですが、中身の説明を受ける機会が少ない仕組みです。
毎月引き落とされている金額が、どこに向かい、どう動いているのか。一度確認しておくと、相場が動いたときの受け止め方が変わります。
分からないところがあれば、気軽に聞いてください。
参考
- 金融庁「NISAを知る」 https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/
※本記事は2026年9月時点の情報をもとに作成しています。投資信託には元本割れのリスクがあります。個別の商品の内容は、目論見書等でご確認ください。